【開業医の父、娘の中学受験に伴走する】中学受験を終えた父親が、これから受験する家庭へ伝えたいこと【part10】
「診療では患者さんの人生に向き合っている。では、我が子の人生に向き合う時、私は何ができるのか。」
この問いから始まった我が家の中学受験というプロジェクトは、たくさんの試行錯誤と葛藤、そしてそれ以上の喜びをもたらしてくれました。シリーズの最後となる今回は、短くも濃密な伴走を終えた一人の父親として、これから受験という未知の道へ踏み出すご家庭へお伝えしたいことをまとめます。
親が深く関われる「最後の受験」
中学受験は、おそらく親がここまで深く子どもの学びに寄り添い、二人三脚で関わることができる「最後の受験」になるのだと思います。

小学生の高学年という時期は、一人でできることが少しずつ増え、心も体も大人になるための思春期へと向かっていく過渡期です。しかし、自分の将来をしっかりと見据え、そこから逆算して今何をすべきかを完全に一人で考えるには、まだ少し早すぎます。
その「一人では登りきれない段差」にそっと手を添え、足場を整えてサポートしていくこと。それこそが、中学受験における親の本来の在り方なのだと、伴走を通じて痛感しました。
決して親が主人公になってはいけない
サポートに熱が入るあまり、私自身も時に陥りそうになりましたが、「親が主人公になってはいけない」ということは、絶対に忘れてはならない鉄則です。

テストの点数に一喜一憂し、つい声を荒らげてしまったこともありました。良かれと思って正論で管理しようとしたこともありました。しかし、最終的にその学校へ通うのは子ども自身であり、なによりこれは「子どもの人生」なのです。
親の理想や見栄を満たすために受験を利用してしまえば、子どもはあっという間に輝きを失ってしまいます。主役はあくまで子どもであり、親は伴走するサポーターに徹する。その適切な距離感と敬意を保ち続けることが、一番難しく、そして一番大切なことでした。
教育は、人ができる「一番の投資」である
私は、教育というものは「人ができる一番の投資」だと考えています。

中学受験には、決して安くないお金がかかります。そして何より、膨大な「時間」がかかります。親の生活スタイルを変え、あらゆる余暇を注ぎ込む覚悟が必要です。しかし、そこで得られるリターンは、単に「志望校合格」という一枚の切符だけではありません。
子どもとともに同じ目的に向かって時間を使うこと。意見をぶつけ合い、家族でフォローし合いながら壁を乗り越えること。人生の貴重な一場面として、親も子も心に深く刻まれるこの経験自体が、何にも代えがたいリターンなのです。
そしてこの投資がもたらす果実は、親だけのものではありません。困難に向き合い、自分で考える力や学習習慣を身につけた子ども自身が最大の恩恵を受けます。さらにその力は、彼女が大人になり、いつかまた次の世代へとつながっていくかもしれません。教育とは、そうした無限の広がりを持った投資なのです。
子どもへ贈る「最高のプレゼント」
もし、教育が親から子どもへ贈ることのできる最高のプレゼントだとしたら、ともに挑んだ中学受験は、まさしく「最高のプレゼント」そのものでした。

これから受験に挑むご家庭には、それぞれのドラマが待っていることでしょう。思い通りにいかないこと、焦りに押しつぶされそうになる夜も必ず訪れます。しかし、どんな時でも「大丈夫、大丈夫」と声をかけ、子どもを信じて伴走を続けてください。
時間もお金も、そして大きなエネルギーもかかる中学受験ですが、結果のいかんによらず、流した涙も笑顔も、そのすべてを「最高の思い出」にできるよう、一人の父親として心から祈っています。




