【開業医の父、娘の中学受験に伴走する】時間は作れる?仕事と受験伴走の両立【part2】
「診療では患者さんの人生に向き合っている。では、我が子の人生に向き合う時、私は何ができるのか。」
前回、娘の中学受験において「管理者」ではなく「伴走するプロジェクトメンバー」になる決意をしたことを書きました。しかし、いざ伴走しようとした時に立ちはだかったのが、圧倒的な「時間の壁」でした。

すべての余暇を「親子のプロジェクト」に注ぐ覚悟
開業医の日常は、表から見える診療時間だけでは終わりません。カルテの整理、スタッフのマネジメント、地域の医師会の仕事や経営者としての決断など、見えない業務が山のようにあります。

「仕事と受験伴走の両立なんて、本当にできるのだろうか?」
それが私の正直な思いでした。しかし、娘の伴走をすると決めた以上、時間は「空く」のを待つのではなく、「作る」しかありません。

それまで私は、仕事終わりに外へ飲みに行くことも多々ありましたが、受験本番までのこの1年間は、仕事が終わればほぼ家に直帰する生活に変えました。休日の朝は、私が娘を起こして一緒に朝食をとり、その日の予定を立ててから机に向かう。振り返ってみれば、仕事以外の時間のほぼすべてを、この受験サポートというプロジェクトに注ぎ込んでいました。
家族をつなぐ「おしながき」と、夜のポモドーロ
とはいえ、平日に私が娘の勉強に伴走できるのは、実質的に夜のわずかな時間しかありません。
私が仕事を終えて帰宅するのは20時頃。娘も塾があるため、一緒に机に向かえるのは早くても21時からでした。
この限られた時間を最大限に活かすため、我が家ではある工夫をしていました。

毎朝、私がその日にやるべきタスクを「おしながき」として書き出しておくのです。私が仕事で不在の間は、妻がそのおしながきに沿って娘の学習を見守ってくれました。そして夜、私が帰宅してからは、残ったおしながきに優先順位をつけ、こなせるだけこなしていくというリレー方式です。

勉強の進め方には「ポモドーロテクニック」を取り入れました。45分集中して勉強し、15分休憩する。これを1セット(1時間)とします。

小学生の集中力を持続させるには、このリズムが最適でした。平日は時間的に多くても2セットが限界でしたが、休日は朝・昼・夜と回して9〜10セット、夏休み以降の休日は12〜13セットを目標に、親子で走り抜けました。
「睡眠7時間死守」の難しさと、完璧を目指さない戦略
時間を捻出するうえで、我が家にはひとつの絶対的なルールがありました。それは「睡眠時間は7時間を確保する」ということです。

睡眠不足は記憶の定着を妨げ、日中のパフォーマンスを著しく低下させます。医師としても親としても、これだけは譲れない線でした。
しかし、現実は計算通りにはいきません。夜遅くまで頭をフル回転させて勉強した後は、交感神経が高ぶっているためか、布団に入っても娘はなかなか寝付けないことが多かったのです。結果として睡眠時間が削られ、翌朝はなかなか起きられない……という日々の連続でした(ちなみに、娘は中学生になった今でも朝は弱いです)。

だからこそ、「全部を完璧にやろうとしない」という戦略が必要でした。
夜の限られた2セットの時間で、残ったおしながきをすべて終わらせることは不可能です。「完璧でなくてもいい。今日はこの優先順位の高いものだけを確実に終わらせて、あとは寝よう」と割り切ること。その見極めこそが、親の重要な役割でした。
忙しい親だからこそ「関わり方の質」が問われる
ずっとそばについて見てあげられるご家庭と比べれば、私が娘と勉強に向き合える時間は圧倒的に短かったはずです。しかし、時間が限られているからこそ、ダラダラと付き合うのではなく、要点を絞って短時間で質の高い関わり方をするよう心がけました。

朝の「おしながき」で方向性を示し、夜は短い時間でも本気で向き合う。
「お父さんはちゃんと見てくれている」「一緒に戦ってくれている」という安心感が伝われば、子どもは限られた時間のなかでも力を発揮してくれます。
時間の長さよりも、どう向き合うか。
忙しいからこそ、その「関わり方の質」が問われているのだと感じた日々でした。




